志発島は、面積58.33 km²で、歯舞群島で最も大きい島である。1,2志発島の大部分は湿地で、樹木のない低平な島とされる。31945年8月15日時点では374世帯・2,249人が住んでおり、これは内閣府の表に挙がる歯舞群島5島の合計5,281人の4割余りにあたる。4現在、歯舞群島に一般の住民はおらず、ロシアの警備隊が駐在しているとされる。5
志発島(シボツトウ)

基本情報
| 名称 | |
|---|---|
| 場所 | 北海道 根室市 |
| 人口 | 不明(1945年当時 2,249人)4 |
| 面積 | 58.33 km²8 |
| 座標 | 北緯 43.51169、東経 146.1343 |
| アクセス | 不明 |
位置
国土地理院国土地理院 / 海岸線:VMAP0
自然・地理
- 志発島は、納沙布岬から25.5 kmの位置にある。9歯舞群島は笹の茂るなだらかな丘陵で、樹木はほとんどないとされる。5
- ロシアの研究者による地理学の論文は、志発島の標高を海面から10〜15 m、島の約80%を湿地としている。川はあまり発達せず、小さな湖がいくつかあり、木は生えずに草や低木の湿原・草原が広がる。島の湾で測った泥炭の厚さは3.4 mで、完新世に津波と地盤の沈降を受けたとされる。3
- 歯舞群島全体では332種の維管束植物が記録されており、志発島ではヤナギの一種 Salix fuscescens が記録されている。この記録は Czernyaeva(1977)の記録を引用したものである。10
- ロシアは、1983年に設けた連邦の自然保護区「マールイエ・クリル」に志発島を含めている。11
- 1937年の水路誌によれば、志発島は志発水道を隔てて勇留島の北北東方にある「やや大きな平らで低い島」で、島の南部は高さ30 m以下、北部は高さ9 mにすぎない。北東端は三角埼(トモシリ埼)、南端はトマリ埼、西端は相泊埼(シレショウ鼻)である。相泊埼から内側の南岸の相泊村落付近には黒色の大煙突があり、海上からの「顕著な目標」になる。12水晶諸島の島々には、志発島の内西端部にある黒色煙突のほかに目標に適するものがない。13
島のいろいろ
- 終戦時の歯舞群島は、根室半島に本村がある歯舞村の離島だった。北方の海域の主な水産物は、昆布・さけ・ます・たら・たらばがになどとされる。4志発島や多楽島にはかつて放牧地が多く、牛や馬が一年中放たれていた。2
- 外務省の資料は、志発島の主な地名として相泊崎・トッカリ崎・三角崎・ウエンベツ・シラリウス崎・西浦泊を挙げる。14米国の地名辞典には、西浦泊・相泊などの廃村となった集落跡や、北浦・西前・東前・カフェノツなどの地名が収録されている。7志発島には、西浦泊やカフェノツなどに日本人墓地がある。2
- 志発島は1945年9月にソ連軍に占領され、現在はロシアが占拠している。15,16ロシアの法令は、志発島を含む自然保護区「マールイエ・クリル」がサハリン州南クリル地区にあるとしている。11歯舞群島には現在一般の住民はおらず、ロシアの警備隊が駐在しているとされる。5
- 日本語名は志発島(しぼつとう)である。6ロシアでは Остров Зеленый(Ostrov Zelenyy、ゼリョーヌイ島)と呼ばれる。7
- 北海道庁殖民部が1898〜1901年に刊行した『北海道殖民状況報文 根室国』は、根室国花咲郡の珸瑶瑁と離島の産物の総価を表にしており、志発島を20,452円とし、その内訳を昆布1万8,552円、塩鮭1,508円、雑魚搾粕と記している。17
日本政府の立場
- 日本政府は、北方四島を一度も外国の領土になったことがない日本固有の領土とし、1945年8月の第二次世界大戦終了直後にソ連軍に不法に占拠され、現在もロシアによる不法占拠が続いているとする。四島の帰属の問題を解決して平和条約を結ぶことを基本方針としている。16
ロシアの立場
- ロシア外務省の発言として報じられたところでは、ロシア政府は、南クリル(北方四島)に対するロシアの主権は議論の余地がなく、島々は第二次世界大戦後の連合国の取り決めと国連憲章に基づいて合法的に得たものだとしている。18
アクセス
- 日本政府は、1989年の閣議了解により、ロシアの不法占拠の下で北方領土に入域しないよう国民に要請している。16
年表
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1937 | 水路誌が志発島(南部の高さ30 m以下)と相泊村落付近の黒色大煙突を記す13,12 |
| 1869(明治2) | 開拓使が置かれ、歯舞群島が郡制に組み入れられる19 |
| 1945(昭和20)-08-15 | 374世帯・2,249人が住む4 |
| 1945(昭和20)-09 | ソ連軍が歯舞群島を占領(日付は資料により9月1日〜4日、9月3日などと異なる)15,19 |
| 1947〜1948 | 北方四島に残っていた住民が強制退去させられ、樺太を経て送還される(四島全体の記述)15 |
| 1956(昭和31)-10-19 | 日ソ共同宣言。ソ連は平和条約締結後に歯舞群島と色丹島を引き渡すことに同意19 |
| 1959(昭和34)-04-01 | 歯舞村が根室市に編入される20 |
| 1964(昭和39) | 北方墓参が始まる(四島全体)21 |
| 2019(令和元) | 自由訪問で勇留島トコマと志発島西浦泊を訪れる21 |
注
- 1 国土地理院『令和8年全国都道府県市区町村別面積調(4月1日時点)付3 島面積』、2026年、82頁。
- 2 独立行政法人北方領土問題対策協会『四島ガイドマップ』。
- 3 Лящевская М.С. ほか「Лящевская М.С. ほか 2018(Известия РАН. Серия географическая, No.1)」、2018年、53頁。
- 4 内閣府北方対策本部『北方領土の姿「戦前の姿」』。
- 5 独立行政法人北方領土問題対策協会『北方領土の概要』。
- 6 国土地理院『電子国土基本図(地名情報)自然地名(国土地理院ベクトルタイル提供実験 experimental_nnfpt)』、2017年。
- 7 米国国家地理空間情報局(NGA)『GEOnet Names Server 地物記録「Shibotsu Tō」(UFI -3002170)』、2017年。
- 8 国土地理院『令和8年全国都道府県市区町村別面積調(4月1日時点)付3 島面積』、2026年(2026年の値)。
- 9 内閣府北方対策本部『北方領土の姿』。
- 10 Gage S. ほか「A Floristic Survey of the Habomai Islands(北海道大学総合博物館研究報告 3)」、2006年、71頁。
- 11 ロシア連邦天然資源環境省『Положение о федеральном государственном природном заказнике «Малые Курилы»(ロシア天然資源環境省命令 2009-08-19 第253号)』、2009年。
- 12 水路部『樺太南部沿岸千島列島水路誌:千島列島・樺太南部(書誌第3號B)』、1937年、34頁。
- 13 水路部『樺太南部沿岸千島列島水路誌:千島列島・樺太南部(書誌第3號B)』、1937年、31頁。
- 14 外務省『われらの北方領土(資料編、PDF)』、2009年。
- 15 内閣府北方対策本部『北方対策 ~北方領土の返還にむけて~ 令和7年度版(p.5-8 北方領土問題)』、2025年、5–6頁。
- 16 外務省『北方領土問題とは?』。
- 17 北海道庁殖民部『北海道殖民状況報文 根室国』、1898年、デジタル版43コマ。
- 18 TASS『Russian Foreign Ministry protests to German embassy(TASS)』、2025年。
- 19 独立行政法人北方領土問題対策協会『北方領土問題の歴史』。
- 20 北海道 総務部『道内における昭和29年以降の合併の状況』。
- 21 内閣府北方対策本部『北方対策 ~北方領土の返還にむけて~ 令和7年度版(p.17-22 訪問事業)』、2025年。
参考文献
- 国土地理院『令和8年全国都道府県市区町村別面積調(4月1日時点)付3 島面積』、2026年。
- 独立行政法人北方領土問題対策協会『四島ガイドマップ』北方領土問題対策協会。
- Лящевская М.С. ほか「Лящевская М.С. ほか 2018(Известия РАН. Серия географическая, No.1)」ロシア科学アカデミー、2018年。
- 内閣府北方対策本部『北方領土の姿「戦前の姿」』内閣府。
- 独立行政法人北方領土問題対策協会『北方領土の概要』北方領土問題対策協会。
- 国土地理院『電子国土基本図(地名情報)自然地名(国土地理院ベクトルタイル提供実験 experimental_nnfpt)』、2017年。
- 米国国家地理空間情報局(NGA)『GEOnet Names Server 地物記録「Shibotsu Tō」(UFI -3002170)』、2017年。
- 内閣府北方対策本部『北方領土の姿』内閣府。
- Gage S. ほか「A Floristic Survey of the Habomai Islands(北海道大学総合博物館研究報告 3)」北海道大学総合博物館、2006年。
- ロシア連邦天然資源環境省『Положение о федеральном государственном природном заказнике «Малые Курилы»(ロシア天然資源環境省命令 2009-08-19 第253号)』、2009年。
- 水路部『樺太南部沿岸千島列島水路誌:千島列島・樺太南部(書誌第3號B)』、1937年。
- 外務省『われらの北方領土(資料編、PDF)』、2009年。
- 内閣府北方対策本部『北方対策 ~北方領土の返還にむけて~ 令和7年度版(p.5-8 北方領土問題)』内閣府、2025年。
- 外務省『北方領土問題とは?』。
- 北海道庁殖民部『北海道殖民状況報文 根室国』北海道殖民部、1898年。
- TASS『Russian Foreign Ministry protests to German embassy(TASS)』、2025年。
- 独立行政法人北方領土問題対策協会『北方領土問題の歴史』北方領土問題対策協会。
- 北海道 総務部『道内における昭和29年以降の合併の状況』北海道。
- 内閣府北方対策本部『北方対策 ~北方領土の返還にむけて~ 令和7年度版(p.17-22 訪問事業)』内閣府、2025年。
- 国土地理院『地理院タイル「全国最新写真(シームレス)」(seamlessphoto)』。