三本杉岩は、海面にそそり立つ高さ30 m前後の岩で、3本の老いた杉が波間にそびえ立つように見えることから名付けられたとされる。1三本杉岩は明治から昭和初期にかけて、役所の調書・地誌・案内書・水路誌のいずれにも登場し、1900年の桧山支庁の調書から1937年の定期航路案内まで、瀬棚の名勝として繰り返し記録されてきた。2,33本のうち1本が離れていることを三角関係の悲恋に見立てた民謡が生まれ、追分節の節にのって内地にも広まったといわれる。1
三本杉岩(サンボンスギイワ)

基本情報
| 名称 |
|
|---|---|
| 場所 | 北海道 せたな町 |
| 人口 | 0人 |
| 座標 | 北緯 42.45819、東経 139.84752 |
| アクセス | 不明 |
位置
国土地理院国土地理院 / 海岸線:VMAP0
自然・地理
- 三本杉岩の高さについて、檜山振興局は30 m前後とし、地理院地図には標高点31 mが記されている。1,51936年の水路誌は、三本杉岩を、瀬棚港の船だまりである船入澗の西にある蝋燭岩の北東にあって「奇観」を呈する3つの巨岩としている。61909年の『大日本地名辞書 続編』は、蝋燭岩の北東約460 m、浜から約90 mの所に3つの巨岩が並ぶとしている。7
- 1936年の鉄道省の案内記は、瀬棚の三本杉岩を、海蝕を受けた柱状の岩角としている。8檜山振興局によれば、三本杉岩は暗灰色の岩で、植物が繁茂している。1
- 檜山振興局は、1972年に指定された狩場茂津多道立自然公園の海岸のうち、茂津多岬・太櫓海岸などとともに三本杉の景観を挙げている。9
島のいろいろ
- 1900年の桧山支庁の調書は、三本杉岩を瀬棚村の海浜にある一つの名勝とし、切り立った岩がそびえて三本の杉のようであることから名が付いたとしている。21901年の『北海道名所案内』によれば、瀬棚の河口には危ない岩礁が並び立ち、その中にある三本杉岩は、遠くから望むと杉の木が高くそびえるように見える。101909年の『後志国要覧』は後志国内の景勝地の最初にこの岩を挙げ、瀬棚郡瀬棚の河口にそびえる巨岩で、海中に突き出して付近に波が激しく打ち寄せ、遠くから望むと三本の杉のように見えるとしている。11同じ年の『大日本地名辞書 続編』は、瀬棚の村の海中に三本杉と称する奇岩が立ち、西海岸の道の「一奇観」だとしている。71937年の北日本汽船の定期航路案内は、瀬棚港の「名勝地」として三本杉岩・虻羅海岸・窓岩を挙げている。3
- 三本杉岩は、船にとっての目印・泊まり場でもあった。1909年の『大日本地名辞書 続編』は水路誌を引いて、夏には小さな汽船が三本杉岩と蝋燭岩の間に仮泊するが、少しでも波が出れば速やかに奥尻島へ避けるべきだとしている。7
伝承
- 檜山振興局によれば、3本のうち1本が離れていることから、先人はこれを三角関係の悲恋に見立てて民謡を作り、それが追分節の哀調にのって内地に渡り、盛んに歌われて有名になったといわれる。1
年表
注
- 1 北海道 檜山振興局 保健環境部 環境生活課『檜山の自然環境-三本杉』、2026年。
- 2 北海道庁桧山支庁『桧山支庁管内状勢一斑 明治33年5月調』、1900年、15頁。
- 3 北日本汽船株式会社 編『北日本:定期航路案内 昭和12年版』、1937年、デジタル版60コマ。
- 4 国土地理院『電子国土基本図(地名情報)自然地名(国土地理院ベクトルタイル提供実験 experimental_nnfpt)』、2017年。
- 5 国土地理院『地理院地図(ウェブ地図)からの座標読み取り』、2026年。
- 6 水路部『北海道本島沿岸水路誌(書誌第3號A)』、1936年、167頁。
- 7 吉田東伍『大日本地名辞書 続編』、1909年、デジタル版71コマ。
- 8 鉄道省 編『日本案内記 北海道篇』、1936年、デジタル版18コマ。
- 9 北海道 檜山振興局 保健環境部 環境生活課『狩場茂津多道立自然公園』、2026年。
- 10 望洋散士(小島千代松)『北海道名所案内』、1901年、36頁。
- 11 北海出版社 編『後志国要覧』、1909年、41頁。
参考文献
- 北海道 檜山振興局 保健環境部 環境生活課『檜山の自然環境-三本杉』北海道、2026年。
- 北海道庁桧山支庁『桧山支庁管内状勢一斑 明治33年5月調』、1900年。
- 北日本汽船株式会社 編『北日本:定期航路案内 昭和12年版』北日本汽船、1937年。
- 国土地理院『電子国土基本図(地名情報)自然地名(国土地理院ベクトルタイル提供実験 experimental_nnfpt)』、2017年。
- 国土地理院『地理院地図(ウェブ地図)からの座標読み取り』、2026年。
- 水路部『北海道本島沿岸水路誌(書誌第3號A)』、1936年。
- 吉田東伍『大日本地名辞書 続編』冨山房、1909年。
- 鉄道省 編『日本案内記 北海道篇』博文館、1936年。
- 北海道 檜山振興局 保健環境部 環境生活課『狩場茂津多道立自然公園』北海道、2026年。
- 望洋散士(小島千代松)『北海道名所案内』小島大盛堂、1901年。
- 北海出版社 編『後志国要覧』北海出版社、1909年。
- 国土地理院『地理院タイル「全国最新写真(シームレス)」(seamlessphoto)』。