エサンベ鼻北小島は、政府の資料どうしで「ある」と「ない」が並ぶ島である。2014年、政府は領海の外縁を根拠付ける離島として、この小島に地図・海図に載せる名前を付けた。12016年度には、所有者のいない離島として国の財産に登録された。2,32018年11月、内閣府の担当大臣は、この島が海図に記載されているのに現地で確認できないという報道があることを記者会見で認めた。4翌2019年、海上保安庁は水深測量などの結果、「同島の位置付近では島は存在せず、非常に水深の浅い浅瀬が存在する」と発表し、2023年の内閣府の調査結果も「島でも低潮高地でもない」とした。5,6それでも国土地理院の自然地名のデータには、2026年10月23日に確かめた時点で、エサンベ鼻北小島が種別「島」のまま載っている。7
エサンベ鼻北小島(エサンベハナキタコジマ)

基本情報
| 名称 |
|
|---|---|
| 場所 | 北海道 猿払村 |
| 人口 | 0人 |
| 座標 | 北緯 45.33499、東経 142.18135 |
| アクセス | 不明 |
位置
国土地理院国土地理院 / 海岸線:VMAP0
自然・地理
- 2026年10月23日に確認した時点で、国土地理院の自然地名には、名称「エサンベ鼻北小島」、読み「えさんべはなきたこじま」、種別「島」、整備日 2014-08-08 として掲載されている。7
- 海上保安庁は、2019年9月24日の報道発表「エサンベ鼻北小島の調査結果等について」で、同年4月〜5月に航海安全の確保のための水深測量などを行い、調査データを確認した結果、「同島の位置付近では島は存在せず、非常に水深の浅い浅瀬が存在することが判明しました」とした。海上保安庁は、この調査結果を直ちに海図に反映するのではなく、潮位の精密な調査を追加で行い、その結果を踏まえて最終的な判断を行う予定とした。5
- 内閣府総合海洋政策推進事務局の「我が国の管轄海域の調査・確認の結果について」(2023年2月2日)は、エサンベ鼻北小島を「島ではなかったもの」に分類し、「島でも低潮高地でもない」としたうえで、近傍の代替基線により領海範囲をほぼ維持するとした。低潮高地とは、低潮時には水面上にあるが高潮時には水中に没する、自然に形成された陸地のことである。同じ資料は、日本の管轄海域は約447万 km²で変更なしとしている。6
島のいろいろ
- エサンベ鼻北小島は、政府が2014年8月に、領海の外縁を根拠付ける離島のうち地図・海図に名称の記載がなかった158の離島に付けた名前の一つである。読みは「えさんべはなきたこじま」、概略位置は「北海道猿払村・エサンベ鼻」とされる。1,3
- 内閣府は、領海または排他的経済水域を根拠付ける離島のうち、所有者のいない「無主」の離島273島について、安定的な管理のために国有財産としての登録などを行った。32016年度に国有財産台帳への登載を行った離島の一覧では、エサンベ鼻北小島は24番に挙げられ、所在は猿払村、浜鬼志別南東部エサンベ鼻北方とされる。22017年4月7日の閣議後記者会見で、担当大臣は、273島は無人で所有者がいないことを政府が確認した島のすべてかという記者の確認に「そのとおりです」と答えた。8
- 2018年11月6日の閣議後記者会見で、宮腰内閣府特命担当大臣は、エサンベ鼻北小島を北海道のオホーツク海側に位置する国境離島で、領海の外縁を根拠付ける基線を有する島と説明し、海上保安庁が海図の最新維持のために必要な調査をできる限り速やかに行うと聞いていると答えた。大臣は、領海への影響については結果を踏まえて対応するとして、答えを控えた。4
アクセス
- 海上保安庁は、エサンベ鼻北小島の位置付近に島は存在せず、浅瀬があるとしている。5
年表
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 2014(平成26)-08 | 政府が地図・海図に記載する名称「エサンベ鼻北小島」を決定1,3 |
| 2016年度(平成28年度) | エサンベ鼻北小島が無主の離島として国有財産台帳に登載される2,3 |
| 2018-11-06 | 内閣府の担当大臣が記者会見で、エサンベ鼻北小島は領海の外縁を根拠付ける基線を有する国境離島であり、海図に記載されているが現地で確認できないという報道を承知していると述べる4 |
| 2019-04〜05 | 海上保安庁が水深測量等を実施5 |
| 2019-09-24 | 海上保安庁が「同島の位置付近では島は存在せず、非常に水深の浅い浅瀬が存在する」と発表5 |
| 2023-02-02 | 内閣府が「島でも低潮高地でもない」「近傍の代替基線により領海範囲をほぼ維持」と公表6 |
| 2024-08-09時点 | 政府が現に保全・管理を行っている国境離島473島の一覧に、エサンベ鼻北小島の名はない9 |
| 2026-10-23 | 国土地理院の自然地名に種別「島」として載っていることを確認7 |
注
- 1 内閣府 総合海洋政策推進事務局『領海の外縁を根拠付ける離島の地図及び海図に記載する名称の決定』、2014年。
- 2 内閣府 総合海洋政策推進事務局『平成28年度に国有財産台帳への登載を行った離島(273島)一覧』、2017年。
- 3 内閣府 総合海洋政策推進事務局『我が国の領海及び排他的経済水域等の保全』。
- 4 内閣府『宮腰内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成30年11月6日』、2018年。
- 5 海上保安庁『エサンベ鼻北小島の調査結果等について』、2019年。
- 6 内閣府 総合海洋政策推進事務局『我が国の管轄海域約447万km2に変更なし ~我が国の管轄海域の調査・確認の結果について~』、2023年。
- 7 国土地理院『電子国土基本図(地名情報)自然地名(国土地理院ベクトルタイル提供実験 experimental_nnfpt)』、2017年。
- 8 内閣府『松本内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成29年4月7日』、2017年。
- 9 内閣府 総合海洋政策推進事務局『我が国が現に保全・管理を行っている国境離島473島の一覧(令和6年8月9日時点)』、2024年。
参考文献
- 内閣府 総合海洋政策推進事務局『領海の外縁を根拠付ける離島の地図及び海図に記載する名称の決定』内閣府、2014年。
- 内閣府 総合海洋政策推進事務局『平成28年度に国有財産台帳への登載を行った離島(273島)一覧』内閣府、2017年。
- 内閣府 総合海洋政策推進事務局『我が国の領海及び排他的経済水域等の保全』内閣府。
- 内閣府『宮腰内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成30年11月6日』、2018年。
- 海上保安庁『エサンベ鼻北小島の調査結果等について』、2019年。
- 内閣府 総合海洋政策推進事務局『我が国の管轄海域約447万km2に変更なし ~我が国の管轄海域の調査・確認の結果について~』内閣府、2023年。
- 国土地理院『電子国土基本図(地名情報)自然地名(国土地理院ベクトルタイル提供実験 experimental_nnfpt)』、2017年。
- 内閣府『松本内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成29年4月7日』、2017年。
- 内閣府 総合海洋政策推進事務局『我が国が現に保全・管理を行っている国境離島473島の一覧(令和6年8月9日時点)』内閣府、2024年。
- 国土地理院『地理院タイル「全国最新写真(シームレス)」(seamlessphoto)』。